2014年 10月 19日
1.神仙戯術(しんせんげじゅつ) |



(版本)陳眉公・著、馬場信武・編、(京都)菱屋勘兵衛、元禄9年(1696)10月(陰暦)、全13丁、10.7×16.4㎝
『神仙戯術』は日本最古の奇術書である。小型横綴じの13丁の本で、この中に20種を収録する。初めに著者である陳眉公の原文をあげ、次に馬場信武による和訳が添えられている。著者の陳眉公は中国・明時代の文人画の大家・陳継儒であり、この人は崇禎12年(1639年)に没している。また、馬場信武は京都の漢学者で、易占いに詳しく、古典と兵学にも長じた人である。
20種の内、手品らしきものは9種で、あとはまじないや生活の知恵である。「吹紙鶏子(すいしけいし)」は、紙を玉子の形に切り取り口の中に入れ、それを取り出して息を吹き込むと卵になるというマジック。「滾地葫芦(こんちころ)」は、ひょうたんが自然に動きだすマジックで、ひょうたんの中にウナギやドジョウを入れておくのがトリックである。そのほかの内容は「紙ヲ以テ胡蝶ヲ飛バス」、「盆中ニ魚ヲ走ラシム」、「鬼火ヲ吹ク」などである。
『神仙戯術』については、以前から正徳5年(1715年)発行の再版本が2冊確認されていた。1冊は版元が京都・河南四郎右衛門、もう1冊は大坂・北田清右衛門である。ところが、平成17年(2005年)11月、『神仙戯術』の初版本の発見により、発行年は元禄9年(1696年)で、版元は京都・菱屋勘兵衛、著述は陳眉公、編者は馬場信武であることが確認された。これによって初版本の発行年が明確に特定され、それまで日本奇術史の謎とされていた部分が解明された。なお、『續神仙戯術』は元禄12年(1699年)の発行である。この正・続の書名を『仙術極秘巻(せんじゅつごくひのまき)』と改題して発行した本も現存する。刊年は不明であるが、版元は、江戸・山崎金兵衛である。
◆追記(2016.12.28)
・日本の『神仙戯術』(1696年刊)は、中国明時代の正徳五年(1510)に刊行された碧雲散仙編『神仙戯術』を底本にしていることが確認された。この書は世界最古の奇術書といえる。
・中国明代刊行の別の「神仙戯術」(合刻本)も、日本の『神仙戯術』と同じ内容が確認された。編者は不明である。
(以上は、中国の奇術史研究家・魔幻先生からの資料提供と教授によって作成した)
『神仙戯術』は日本最古の奇術書である。小型横綴じの13丁の本で、この中に20種を収録する。初めに著者である陳眉公の原文をあげ、次に馬場信武による和訳が添えられている。著者の陳眉公は中国・明時代の文人画の大家・陳継儒であり、この人は崇禎12年(1639年)に没している。また、馬場信武は京都の漢学者で、易占いに詳しく、古典と兵学にも長じた人である。
20種の内、手品らしきものは9種で、あとはまじないや生活の知恵である。「吹紙鶏子(すいしけいし)」は、紙を玉子の形に切り取り口の中に入れ、それを取り出して息を吹き込むと卵になるというマジック。「滾地葫芦(こんちころ)」は、ひょうたんが自然に動きだすマジックで、ひょうたんの中にウナギやドジョウを入れておくのがトリックである。そのほかの内容は「紙ヲ以テ胡蝶ヲ飛バス」、「盆中ニ魚ヲ走ラシム」、「鬼火ヲ吹ク」などである。
『神仙戯術』については、以前から正徳5年(1715年)発行の再版本が2冊確認されていた。1冊は版元が京都・河南四郎右衛門、もう1冊は大坂・北田清右衛門である。ところが、平成17年(2005年)11月、『神仙戯術』の初版本の発見により、発行年は元禄9年(1696年)で、版元は京都・菱屋勘兵衛、著述は陳眉公、編者は馬場信武であることが確認された。これによって初版本の発行年が明確に特定され、それまで日本奇術史の謎とされていた部分が解明された。なお、『續神仙戯術』は元禄12年(1699年)の発行である。この正・続の書名を『仙術極秘巻(せんじゅつごくひのまき)』と改題して発行した本も現存する。刊年は不明であるが、版元は、江戸・山崎金兵衛である。
◆追記(2016.12.28)
・日本の『神仙戯術』(1696年刊)は、中国明時代の正徳五年(1510)に刊行された碧雲散仙編『神仙戯術』を底本にしていることが確認された。この書は世界最古の奇術書といえる。
・中国明代刊行の別の「神仙戯術」(合刻本)も、日本の『神仙戯術』と同じ内容が確認された。編者は不明である。
(以上は、中国の奇術史研究家・魔幻先生からの資料提供と教授によって作成した)
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by happymagic123jp
| 2014-10-19 08:50